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イノベーション①予期せぬ成功は腹が立つ?

 
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茅ヶ崎駅南口から海へと続く「雄三通り」のほぼ入口にあります、イベントスペース・シェアオフィスです。 茅ヶ崎をオープンイノベーション日本一のまちにしたい。 「未来の自分に橋をかける」をミッションに、イベントを開催しています。

「オープイノベーション日本一のまち」を目指したい。

掲げると、それに関連する情報が一気に流れ込んできたような毎日です。「引き寄せ」とは、まさにこのこと。

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イノベーションとは、既存の物同士を掛け合わせて新しい価値を生み出すこと。

イノベーションで思い出す会社があります。「本の雑誌社」です。

作家の椎名誠さんと書評家の目黒考二さんが立ち上げた、書評誌「本の雑誌」を始めとする書籍を出版する会社です。(※2019年度の大賞ノミネート作品が決定した「本屋大賞」は、本の雑誌社の現社長、浜本茂さんや営業部長の杉江由次さんが中心となって立ち上げた賞です!)

中高生時代、椎名誠さんのエッセイや小説で育った私が大学生の頃に始まったのが、WEB本の雑誌。

この中では、当時の社長の目黒考二さんが日記を書いておられました。「笹塚日記」です。この日記が実に面白かった!会社で昼夜逆転になりながら、足の踏み場もないくらい本に溢れた部屋で、ひたすら読書をするか、週末は競馬を楽しむか、笹塚からほぼ外に出ない目黒さんの不思議な生活。連載は10年以上、目黒さんが笹塚の職場を引き上げるまで続きました。書籍にもなり、全4巻で完結しました。

目黒さんの他にも、一人営業の杉江さんが、ほぼ毎日、WEBに日記を書いておられました。「本の雑誌」炎の営業日誌です。浦和レッズに燃える杉江さんの、本とレッズに懸ける熱い想いが毎日のようにアップされ、「サッカーのサポーターってスゴイな」と思っていました。実際に初めてお会いした杉江さんが、靴からキャップに至るまで「赤」でコーディネートされていたのには驚きました。

「笹塚日記」「炎の営業日誌」からは、私たち本の雑誌社の外の世界=顧客側に居る人たちが初めて分かったことがりました。それは、「本の雑誌社で働く人たちの姿」です。不思議な生活を送る目黒さんを取り巻く本の雑誌社スタッフの皆さん、その皆さん自身が、また実にユニークな存在でした。この、働く人たちにファンが生まれたのです。

本の雑誌社にとっては、自分達の生み出す「本の雑誌」や書籍こそが商品です。たくさんの人に、自社本・他社本を問わず、本を買ってもらいたい。本を楽しんでもらいたい。そのために作っているのが「本の雑誌」です。「本の雑誌自体や、本の雑誌で紹介されている本をたくさん買ってもらいたい」、というのが、普通の想いではないでしょうか。

ですが、WEBで、本の紹介ではない・本の内容とは全く関係ない日記が書かれるようになり、その日記を楽しみにする読者が新たに現れたのです。新たな顧客の創造です。WEBの日記を楽しみにする読者が本を買うとは限りません。日記から察する本の雑誌社で働く人たちの姿に「面白い!」という価値を見出したのですから、本を買わないことの方が多いと思います。

一時、本の雑誌等含む出版不況で大きな経営不振に見舞われた時期もあったようですが、

今では、新たな顧客=本の内容ではなく、スタッフさん達が捉えている、出版に関連する興味や価値観、そもそもの働く姿勢に価値を見出す、「本の雑誌」や本のそのものをあまり読まない読者、の存在に気づき、

書評に留まらない出版物や取り組みが展開されるようになりました。

縁あって一度だけ本の雑誌社を訪れた時があります。その時に聴いたのか、何かで読んだのか、記憶が定かではありませんが、やっぱり、「作った物が売れて欲しい、本が売れて欲しい」という想いとは裏腹に、ネットを介して「本の雑誌社ワールド」に対するファンがどんどん生まれることに、最初は戸惑いもあったそうです。自分達の売りたいものと、顧客から求められるものが違うのですから、当然のことです。「予期せぬ成功は腹立たしい」とはこのことです。

ですが、本の雑誌社は、それを「機会」と捉えたのだと思います。しかも、結構早くに気づかれたのだと思います。昔に比べたら誌面もずっと面白くなりました。本の紹介に留まらず、出版の周辺の世界のことを、スタッフの皆さんが取り上げる内容が生まれました。

「おじさん三人組が行く!」は、スタッフの皆さんが、ブックカフェ開業を目指してオシャレブックカフェに潜入したり、新潮社や(ライバルとも言える)ダ・ヴィンチ編集部を取材したり、古本屋を取材したり、ブックオフ開店に挑んだり、図書館にも取材に行きます。新刊本が売れない原因の一つに当たるのに?とも思ってしまいますが、独特の感性と視点で自由に伸び伸びと繰り広げられる取材の数々は、読む者を全く飽きさせません。

「自分達の売りたいものを売るんだ!」と思っていたら、なかなかこういった物は出来なかったかもしれません。

ですが、顧客にとって新たに価値アリとされた物が何かに気づき、見極め、それの価値を更に伸ばしていくことに挑戦し続けているのだろうな、と思っています。

イノベーションの機会の一つ、「予期せぬ成功」。

予期せぬ成功は始めは納得が行かないかもしれません。ですが、気づいて、それを伸ばして、再現していくことで、新たな顧客が生まれ、新たな価値を創造できるのです。

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