「地域で働く」を人生の財産に(第2回) 

上司とのそりが合わず勤め先を辞めた後、都内の同じ業種、法律関係の事務所に就職し、4年が経っていました。同じ業種であっても会社の所在地が変わるだけで、仕事の内容もだいぶ違いがありました。都内では法人関係の仕事が多く、以前の勤め先では経験できなかった仕事に携わることができ、充実していました。

一方で、私の実家は湘南で50年以上続くガソリンスタンドを2店舗、経営していました。ドライバーが自分で端末を操作して給油して去って行く「セルフ式」ではなく、「いらっしゃいませ!」とスタッフが掛け声と共にお客様を迎え入れ、ガソリンの給油から洗車、車のメンテナンス等、すべてスタッフが行う「フルサービス」のガソリンスタンドでした。

地方の中小企業は都会の企業とは違います。自由で小回りが利く一方で、規模の小ささ故に困ることもあります。ある時、事務方の人手に困ったタイミングがあり、そこから急遽、「兼業」という形で、家業にも関わるようになりました。都内の勤め先の所長の後押しもあり、そちらでの勤務を大幅に縮小して家業メインで働く毎日が始まりました。

兼業時代、まず、驚いたのが、地域のサービス業の中小企業の実態でした。ガソリンスタンドは、最終消費者であるお客様と毎日接点のある業種。そこには、感情のある生身の人が居ました。お客様も働くスタッフさんも、「嬉しい」「幸せ」「元気になる」「疲れた」「難しい」、などなど、常に、何かしらの感情とともにありました。書類と電話とメールを通してお客様とやりとりをしていた以前の仕事とは大きな違いでした。

現場のスタッフさんと交わす会話の中身も、書類を相手にする都内の仕事と大きく異なりました。伝達が必要な事項の内容の違いもありますが、それらの内容の違いでは無い部分が違いました。仕事の内容そのものと、それらをスムーズに効果的に行うために必要なものが、全く違う感じ。物そのものと、物を扱う人自身。両者は違うように感じました。人見知りの自分はいきなり困ることになりました。

「仕事と働くことすなわち労働とが根本的に異なるということである。もちろん働く人が仕事を行うのであって、仕事は常に人が働くことによって行われる。しかし、仕事を生産的なものにするうえで必要なものと、人をして成果をあげさせるうえで必要なものとはまったく異なる。」(マネジメント第16章)

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