発見!茅ヶ崎のプロフェッショナル~小皿BAR Suya 岩瀬望美さん~第1話
茅ヶ崎は個性的なお店屋さんが多いまち。そんなお店をつくる店主さんのこと、みなさんご存知ですか?お店を始めたキッカケ、普段どんなことをしているの?プライベートはどんな時間?店主の方の魅力に迫ります。読み終わったら、そのお店屋さんのことが益々好きになるかもしれません。
小皿BAR Suya(こざらばー すや) 岩瀬望美(いわせのぞみ)さん。Suyaは2017年10月に茅ヶ崎にオープン。始めは喫茶店Cute(キュート)さんの店舗を間借りしての営業でしたが、2020年3月に現在の店舗にて移転オープンしました。店主の岩瀬さんは「酢屋十二代目」を名乗ります
創業400年以上の酢屋の十二代目
「酢屋は、母方の実家で房総半島の勝浦で続いてきた屋号です。400年以上の歴史があります。昔は天皇家にお酒を上納したり、お醤油をつくったり。縁結びもしていたそうですが、主では呉服屋を営んでいました。」
お祖母さまが呉服屋を営む千葉県の勝浦に、子どもの頃から度々遊びに行っていた岩瀬さん、赤ちゃんの頃から海が好きで、お店にも出ていたそうです。「子どもの頃から酢屋を継ぎたいと思っていました」
そんな岩瀬さんですが、Suyaをオープンさせる前のお仕事は百貨店の勤務だったそうです。しかも、販売の現場ではなく、百貨店の後方部門。販売される品物を管理したり、売り場とバイヤーさんをつなげる仕組みをつくったり、パッキングや納品や返品処理など、巨大で莫大な数の品物を扱う百貨店の現場を後方で支えました。
その中で、酢屋の屋号を継ぐこと
「20代の頃から継ぎたいと考えていました。ですが自営はやはり大変。酢屋の屋号は母の兄弟が呉服屋を継いだのですが、その後、閉店しまいました。なので、自分が継ぎたい、遺したいと考えていたのですが、先ずは社会に出て色々勉強をしようと思ったのです。」
百貨店勤務で忙しく働く岩瀬さんに転機が訪れたのは東京から茅ヶ崎にご家族で引っ越してきた頃。
開業を決めた転機は茅ヶ崎での生活
「定年を迎えた両親が、のんびり過ごしたいねということになり、海の近くの茅ヶ崎に家族で引っ越して来ました。そして、茅ヶ崎から通勤で都内に通うになったのですが、茅ヶ崎で暮らすうちに気持ちが変わり始めました。茅ヶ崎は、伸び伸びしているし空気もいい。リラックスするようになりました。百貨店の仕事も60歳まで続けていくのか疑問を感じ始めていました。」
自身のキャリアを考えながら茅ヶ崎の空気で癒される、そして、酢屋の屋号を遺していくこと。
「自分も手に職をつけたいと思っていました。洋服や呉服の形では難しい。飲食も素人ですが、酢屋が代々おこなってきた、『縁』をつないでいきたい。やったことないけれど、縁をつなげたい、人をつなげたい、と思いました。茅ヶ崎の伸び伸びした空気のなかで、決心しました。」
こうして、2017年10月に小皿Bar Suyaがオープンします。
「飲食店はやったことありませんでしたが、オープンの日はワクワクしました。不安よりもワクワクの気持ちの方が大きかったです。茅ヶ崎のまちに、ちょうど合っていたのかもしれません。」
そして今、子どもから大人まで多くの人が集うお店となったSuya。
それは、百貨店時代に売り場での接客担当では無かったにも関わらず、その人柄で多くの人を惹きつける岩瀬さんの魅力によります。 「百貨店でやって来たことが、今、全て生きています。在庫管理やメニューもそうですが、百貨店時代は、倉庫業や運送業、バイヤーさんなど、たくさんの分野の方と実際に会って話しをして仕事を進めていました。『顔見世興行』って呼んでいましたが、現場に足を運んで、ちゃんと会話をして進めてきました。なので、接客をしたことはなかったのですが、その頃の経験が活かされていると思います
全3回シリーズでSuyaの岩瀬さんのストーリーをご紹介していきます。どうぞお楽しみに。