【まくのうちコミュニケーション@茅ヶ崎堤】繊細な造園の世界 竹内悟門さん(竹内庭苑)

心の乱れは仕事の乱れに~一本の枝と向き合う造園の仕事

「仕事が自分を成長させてくれています」と竹内さん(竹内庭苑)は言います。

まだ若い修業時代だったとき、同世代の職人さんと同じような木の剪定をそれぞれ任された竹内さん。完成した二本の木は、形は同じように見えました。ですが、親方はその職人さんに対して「全然できてないじゃないか」と注意をされました。

同じように見える形、どこが「全然できていない」のか。納得がいかなかった二人は夜に再び二本の木を見に行きました。すると、竹内さんが担当した木は花芽もたくさん残してありましたが、親方に注意をされた職人さんの木は花芽が残っていなかったのだとか。

「どの枝を切るか、その場で自分で判断して決めます。何を残して何を切るか。その木の本来の姿でイキイキといられるように。そう考えると、作業は単純簡単では終わらないし、樹形は同じように見えたとしても、花芽を残して剪定した方がいいです。判断をその場で行い、実際に実行できるか。面倒だなと思わずに、より良い姿で残していく工夫や配慮をできるか。木に向き合う自分自身が試されます。

「楽をしようと思えば楽をすることができます。自分の楽なように、切りたいように切ればいい。ですが、それでは、その木本来の良さや魅力が失われてしまうこともあります。適当に切れば、木はその後、適当に育っていくのです。心の状態や心の乱れが、ダイレクトに表れる、それが造園の世界だと思います。」

知識を身につけ感性を磨く

図面通りに完成することで仕事が終了するわけではなく、一度手を入れた後も、成長して変化をしていく造園の世界。そして一本一本、同じ種類の木でも、特徴や姿が違う。一つ一つ異なるからこそ、人工物ではなく、年を重ねること自然物を扱っているからこそ、木の変化を、木とともに創っていくことが必要です。

そこまでの想いで一回一回の剪定で、向き合うことができるか。それは、私たち人間同士の人との関わりにも相通じるものがあるように感じました。

木の本来の良さを生かす知識を身につけるだけでなく、美しい景観に対する感性や、丁寧に仕事を行うための心の向き合い方を、造園の仕事を通じて自分は学べるようになりました。ですので、竹内庭苑で施工させていただく際には、職人みなで、美しい景観を創り上げたいと考えています。

休みの日には、都内にある庭園の美しいホテルで社員皆で朝食をとったり、浜離宮恩賜庭園を散策する時間も設けているそうです。

造園の世界は、感性を磨き、自分の心で目の前の木々たちと向き合い、今だけでなく長い時間軸で考えて、将来から見て今の一回一回のハサミをいれる。そんな繊細な世界であるということを、強く感じました。

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