【まくのうちコミュニケ―ション@茅ヶ崎堤】プロフェッショナルとは何か~竹内悟門さん(竹内庭苑)の場合~

マネジメントたるものはすべて、リーダー的地位にあるものの一員として、プロフェッショナルの倫理を要求する。知りながら害をなすな、である(マネジメント)

アドバイスができるかどうか

竹内さんは言います。

「海沿いのお宅でモミジを植えたいと仰られるお客様がいらっしゃった場合、僕は最初から『紅葉しませんが、それでも良いですか』とお伝えするようにしています。モミジが本来植えられるのに適した環境では無いからです。茅ヶ崎市や鎌倉市は、マンションの緑化の規定が厳しいですが、その際も、求められれば、一時の見た目やデザインではなく、長い目でみて、3年、5年、10年経った時の姿を考えて、どの木を植えるか、どの場所に植えるかなどをアドバイスさせてもらうようにしています。

そういったことをお伝えしないで、始めの好みや希望だけでお庭を作ってしまうと、例えばモミジは一度も紅葉せず、枯れて元気が無くなってしまう。施主さんは、そんな元気の無い木を毎日のように目にしなければならなくなり、植えた時は嬉しい気持ちだったのに、相応しくない木を植えてしまったがために、木のせいで嫌な気分で日々を過ごすことになってしまう。それは残念だと思うし、造園に携わる者として、それではいけないと僕は思います。

個人の新築のお庭をつくるとき、新築のマンションの植え込みをつくるとき、デザインの大元はデザイン会社の方が作成されることが多いそうですが、竹内庭苑さんでは、お客さんの希望を聴きながらも、木の種類、植える場所や向き、虫の付き具合など、複合的にアドバイスをされるそうです。

木の本来の良さを生かす知識と想い

「これは職人みなが、当たり前にできる事ではありません。そういった木についての知識を持っているかどうか、木本来の良さや魅力を生かしたいという想いをもっているかどうか、イキイキとした木々から生命力を毎日感じられる生活を届けたいと思うかどうか。それらの知識や想いが、実際の作業に紐づけられた時に、木が一番イキイキとして生命力を感じられる姿になると思います。

木の特徴をしっかり活かすことを大切にしたい、木が本来の姿で一番イキイキと生育するように手を掛け、木とともにある日々の生活をイキイキと充実させてあげたい。それが竹内さんの想いです。

「庭の中の岩も同じです。古くから日本にある岩は日本の風土にも合っているので、苔も美しく生えて行きます。熊本の地震の際に、復旧のボランティアで現地に行きましたが、日本風の庭は壊れても作り直しやすいと感じました。一方、西洋風のコンクリートやブロックは、苔も汚く生えてしまったりと、なかなか日本の風土に合わないこともあるのかもしれません。そういった知識も、知っているのと知らないのとでは違います。持っている知識を使って、お客様の希望にもこたえられるような感性も日々磨きながら、庭や木を生活の中で長く楽しんでもらえたらと考えています。

(※写真は学童保育でしめ縄の作り方を教えているところです)

「知りながら害をなすな」それは組織のミッションと共にあるものなのかもしれません。自分達が仕事を通じて果たしたい使命はなにか。そこからスタートするときに、お客さんと共有するべき情報や価値観があります。お伝えしないと伝わりません。

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