【まくのうちコミュニケーション@茅ヶ崎共恵】エグゼクティブな姿~岩澤あゆみさん(くまじ)の場合~

「経済的な業績は、差別化の結果である。差別化の源泉、および事業存続と成長の源泉は、企業の中の人たちが保有する独自の知識である。成功している企業には、常に少なくとも一つは際立った知識がある。そしてまったく同じ知識を持つ企業は存在しない。」(創造する経営者)

「流行っています」が通用しないまち

岩澤さんは言います

「駅ビルに入るナショナルチェーンの店長さんからよく聞くのは、洋服を販売するときに、茅ヶ崎ほど、『流行っています』という言葉が通用しない場所は無い、ということです。その原因は、こだわりのある多くの地元店にあるのかもしれない、と思うことがあります」

茅ヶ崎は駅前にチェーン店の飲食店が非常に少ない地域です。ここにしかないお店が軒を連ね、個店が賑わいを見せる全国的にも珍しい地域であるのは確かです。飲食店に限らず、衣食住のジャンルで、個性豊かなお店や会社が多いです。

「茅ヶ崎には、こだわりを持って商売をしている店主さんがとても多いと感じます。ファッションのジャンルに限りません。それは、こだわりを持っている消費者が多いから。流行や珍しさではなく、その商品が自分にとって、どんな点が良いのかを自分で判断する、そんな価値観が根付いているからこそだと思います。」

「そしてそれは、ひょっとすると、わたし達が、戦後から『茅ヶ崎の人たちに本物の洋服の文化を伝える』ことを使命に、長年、本物を伝えてきたことも影響しているのでは、と思っているのです。」

くまじさんでは、メーカーの「流行っている」や「珍しい」という説明ではなく、その商品の持つストーリーや想いを、その商品から受け取ることができる商品を仕入れるそうです。仕入れも誰でもが行えるわけではなく、くまじさんの本質からズレないようにと、商品や作り手の持つメッセージをキャッチできる人が担当するのだとか。

「商品それぞれに特別なストーリーがあります。それを用いて、お店でどのようなメッセージを伝えるのか、自分達の想いをどのように伝えるのか。同じような商品のラインナップに見えても、お店ごとに全く異なるのです。」

「このような、特別なストーリーを提供できるお店が、様々なジャンルで茅ヶ崎にはたくさんあるはずです。そのようにして、自分達の会社にしか果たせないことをやり続けていくこと。くまじ でしか伝えられないメッセージを伝えていくことが使命だと思います。」

育まれてきた「こだわり」

お店側が「自分達の店は、これです」という明確な基準を示しているということは、消費者も選ぶ基準を持つことが必要になります。自分には何が良いのか?この場合は何が必要なのか?考えて商品を買う。こうして、衣食住に関して、自分のこだわりと共に自分以外の人のこだわりも大切にする、茅ヶ崎の地域にある価値観が育まれていったのだと思います。

長い歴史の中で、くまじさんが実現した、際立った知識は、「自分にとってのこだわりを知ること、自分にとっての本当の価値に気づき大切にすること」をお客様と共に、お客様に寄り添い、実現していくことだと感じました。それは、洋服というジャンルに限らず、私たちの生活の中でとても大切な価値観であると感じました。

私たちはすべてを自分の力で手に入れることはできません。様々にある商品の中から必要なものを選びます。その時、何を基準に物を選ぶかは自分で決めることですが、そのスタートは「それは、本当に自分にとって価値あるものなのか?」を自分で考えること。くまじさんは、長い年月をかけて、「本物を伝える」ということを通して、私たちに、自分に必要なものを考えること・選ぶことの投げかけをしてきたのかもしれません。

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