【まくのうちコミュニケーション@茅ヶ崎共恵】茅ヶ崎と共に~岩澤あゆみさん(くまじ)の場合

茅ヶ崎にこだわる

「代々言われてきたことで大切なことは、『茅ヶ崎から離れない』ということです。」

岩澤さんは言います。

茅ヶ崎の老舗であるくまじさんの中で大切に守られてきたことは、「茅ヶ崎の人たち」との関係性です。

「なぜ、茅ヶ崎から離れないかというと、自分たちの魂は、茅ヶ崎の地で、茅ヶ崎の人たちにしか伝えられないと思うからです。」「本物を伝えたい、自分たちの魂を伝えたい、という想いがくまじにあったとしても、一方的ではダメだと思います。『知りたい』と思ってくれる人がいてこそ、始まると思っています。それには、まずは私たちが、相手を知ることがスタートです。隣町と言えども、一駅違えば、風土も違えば住んでいる人たちの精神性や想いが違うと思います。住んだこともない土地の人の事は、分かりません。その人たちのことが分からないのに、自分たちの想いは伝えられないと思っています。」

「手広くすると経営者がすべてのお店を見ることができなくなってしまうと思います。そうすると、くまじとして伝えたい魂や想いが、すべてのお店に伝わらなくなってしまうと思います。」

「呉服の時代から、商売で得た利益は地域に還元することを大切にしてきました。還元することで、そのまちが豊かになる。茅ヶ崎にこだわる、茅ヶ崎を発展させる、茅ヶ崎を代表する店になるのが私たちの大切にしていることです。」

くまじとしての お役目

また、三代目、四代目の最期を看取ってこられた岩澤さんのお話しの中には「お役目」という言葉がよく登場します。

「自分で『やりたい』という想いが無いわけではありませんが、くまじ としてのお役目というのをよく考えます。」

「糸物業だからという訳ではありませんが、糸へんの漢字には、絆、結、繋、継、編など、人との関わりを作る言葉が多いです。糸へんにつながるものが会社の使命とも思っています。これは私自身の人生のテーマであるのかもしれません。お役目は決まっている、生かされていると思っているので、様々な巡り合わせで自分に与えられたお役目は、やるかやらないかといったら、やるだけだと思っています。」

 

くまじ本店では岩澤さんのお母様が中心となり呉服や日本製の洋服を

駅ビルラスカの中のKUMAJIではインポートの洋服を

ラスカのワコールガーデンでは、岩澤さんが下着を
それぞれ、販売していますが、それらは、それぞれにとって、「本物を伝える」「魂を伝える」というメッセージを一番込めやすいツールだと岩澤さんは言います。

岩澤さんの場合は下着でした。

「下着は、一番内側につけるもの。女の人に勇気を与えます。自分自身のことを一番大切にしてほしい、自分らしく生きることを応援することを、下着というツールを使って実現したいとも思っています。」

そんな岩澤さんは、日々忙しく店頭に立ちます。

「『お客様が心の中で発しているメッセージをキャッチして、ふさわしい商品を提案して、遠隔的に癒す』というようなイメージです。誰でも女性には、一番『どうにかしたい』というような想いや心があります。そこに気づけること、見つけてあげられると、女性はその瞬間から変わります。まるで憑き物がとれたように、パァッと変わります。」

それらの想いを打ち明けてもらう必要は無い。けれど、共有できる場所になれればと岩澤さんは言います。

お客様にとっての居場所

くまじさんのどのお店にも必ずあるのが、この椅子です。

本店も、ラスカも、ワコールも、売り場には必ず椅子があります。

「この椅子は少しお休みください、荷物を置いてください、といった意味だけでは無いのです。お客様にとっての居場所をいつも開けておくことが、くまじとして「人生に寄り添う」ことには必要だと思っています。本店では、母がお茶を出してくるのです。半日、お茶を飲んで、母とお喋りをして帰られるお客様もいらっしゃいます。」

「商売だからやっているという感じでは無いのかもしれません。ですが、お店としてやっていたら、これほど長くは続けられなかったかもしれません。『生まれてから死ぬまで、寄り添えない覚悟なら辞めなさい』と初代の言葉を、実直に実践してきたからこそ、なのかもしれません。」

時代を重ねて受け継がれてきた想いほど確かなものは無いと感じます。

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